世界の演出法とはどのようなものですか? 演出家には優れたものを生み出すセンスと、俳優を導く手腕が必要です。別役は、「皆で創造する」ことを重視しており、演出の過程で理想的なプロセスを辿れるようにしています。根底あるのは、RADA(英国王立演劇学校)元講師にしてオーストラリアの著名な演出家・指導者Peter Oyston氏のメソッドです。そのメソッドはスタニスラフスキーの晩年の流れを組んでいて、とても創造的です。
別役さんの演出は厳しいですか? 現場はいつも楽しい雰囲気です。別役は俳優に無理な要求をすることがなく、指示も全て理に適っていますし、俳優たちが演出プロセスを経ることで無理なく質の高い演技が出来るようになっています。皆で創造していくという空気のため、指示待ち人間はついていけません。自ら行動し、考え、創造していく力が俳優には必要になります。
どのような作品を上演しますか? 喜劇・悲劇・創作ジャンルを問いません。どんなジャンルでも、コンスタントに上質の舞台を創ってきました。小劇場演劇に見られる舞台とは随分と異なり、本格的なストレートプレイの上演に注力しています。古典の名作の現代劇化にも積極的で、これまでイプセンの「人形の家」、ストリンドベリの「令嬢ジュリー」、チェーホフの「桜の園」、シラーの「ドン・カルロス」を上演してきました。
劇場はいつも決まっていますか? 東京にはあまり機能的な小劇場がなく、消防法の厳格化もあいまって、なかなか創造的な舞台を創れる適した環境がありません。近年はd-倉庫を使うケースが続いています。天井が高く、自由に舞台と客席をアレンジできる劇場を求めています。将来は劇場を建てたいと思っています。
ノルマはありますか? 10万円程度を制作費として徴収し、チケット収益に関しては制作費分までは完全バックしています。それ以上の収益は半分程度の額がバックとなります。少なくとも1人20名程度はお客を呼んで頂きたいと思っています。
舞台美術は誰が担当しているのですか? 毎回シンプルながら美しい舞台美術を創って頂いているのは、舞台美術担当が造形美術の専門家だからです。舞台美術家とは違う視点で制作するので、既存の舞台装置は少し異なります。もちろん演出の別役が機能的になるよう助言しているので、単に作品のように制作して演技とそぐわないということはありません。担当しているのはmorriさんや戸井田雄さんです。過去の公演(第3回~9回)は、舞台美術家の青木拓也さんが担当していました。