イプセンやチェーホフと同じく世界的に名高いスウェーデンの劇作家、アウグスト・ストリンドベリの代表作『令嬢ジュリー』(1888)は、彼が演劇の未来を予期して書いた作品であり、事実現在も世界中で上演されています。そこには、人間の、もっといえば男女の、満たされない普遍的欲求を内包しているのです。 わたしたちは120年前のこの作品が、男女の容易に解決できぬ葛藤や、上下関係と信頼関係の脆さ、信じることと期待することの危うさを、驚くほど現代的に描いていると理解するでしょう。 |
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美しいものも醜いものも、ありのままに人間を描いたストリンドベリ。目を背けたくなる冷酷な描写もさながら、性的な描写も人々にショッキングを与えました。ただ、ストリンドベリは、「令嬢ジュリー」を未来の演劇を意識しながら書いており、このありのままの人間描写は、現代に来て、より普遍性を感じます。まさに我々が目を向けざるをえない現代のメタファーに満ちているのです。 英国を代表する、ノーベル文学賞劇作家ハロルド・ピンターの作品には「Power-Play」という要素が見られます。これは、立場の逆転です。この元祖こそ「令嬢ジュリー」であり、この両者の作家においては様々な共通点が見られます。 全てにおいてまったく清新な現代劇として甦らせた『令嬢ジュリー』。台詞の一つ一つを丹念に練り直し、原作における多くの難点をクリアにさせ、ハロルド・ピンターのような、緊密な空気が支配する、アーティスティックでイマジナティブな台本に仕上げました。 演出は英国式のメソッドを適用し、STONEψWINGSらしい、芸術性と創造性に富む舞台に昇華させています。 |
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昨年のイプセン原作「ドールズ・ハウス」より一年。今回、STONEψWINGSとしては第8回目の公演ということになります。これまでとまったく違うのは、中央公論新社との共催で、場所も中央公論新社のエントランスホールを劇場にしてという形態を取っていることです。都営地下鉄各駅に置いてある「中央公論Adagio」にも広告掲載されています。また、「読売ウィークリー」「読売新聞」にも告知されており、より多くの一般の方に知って頂ける機会となりました。会社のホールという都合上、土日の2ステージのみとなります。最大でも限定200名までしかこの舞台をご覧頂くことが出来ません。是非、この機会にSTONEψWINGSの舞台をご覧下さい。 | |||||||||||
「なにもない空間」というのは世界の重鎮演出家ピーター・ブルックの最も有名な著書のタイトルでもありますが、優れた世界の演出家たちはエンプティー・スペースをベースにした舞台創りを好みます。それはイマジネーションが演劇の宝であるから。STONEψWINGSでも長年エンプティー・スペースをベースにした舞台、客席が舞台を取り囲む舞台を創ってきました。日本人は目に見えること、耳に聞こえることに囚われすぎですが、是非とも実際には目に見えないこと、耳に聞こえないことをイマジネーションで見聞きしてください。 今回は、まさしく「なにもない空間」でした。照明設備も音響設備もなにもない空間です。そこを芸術空間に変えたいと思います。今回の舞台は、客席が三方向から取り囲む形になります。24日と25日で違った角度から観てみるというのも一興ですよ。 |
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ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ 〔原作〕 〔後援〕 〔脚本・演出〕 〔会場案内〕 |
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2800円(前売・当日共) チケットの販売を開始いたしました。日時指定となりますので、ご注文の際には、24日の回か25日の回、どちらをお求めになるか明記してください。お電話での申し込みは、中央公論新社 特販部 03-3563-2046まで。 速やかにご確認のメールを返信いたしますが、48時間経っても返信なき場合は、03-5689-0075までご連絡下さい。ウィルスソフトのセキュリティによっては届かない場合がございます。 |
STONEψWINGS 第8回公演
11/24(土)&25(日)PM7:00開演