STANISLAVSKI TOTAL ACTING     
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「スタニスラフスキー」

1.スタニスラフスキーという人物、ヒストリー
Konstantin Sergeevich Stanislavski (1863~1938) 織物工業にて独占的な地位を持つ裕福な家庭に育つ。
→オペラやバレエ、サーカスなどに親しむ。
→俳優との親交  ボリショイ歌劇団のメンバーによる指導など
1877年 納屋を劇場に改造 更に屋敷内の部屋も劇場に。→観客の存在
*同年、父がロシア商工業界のリーダーに。
マールイ劇場や、ヨーロッパの旅劇団の影響
演技の技術を磨きながら、演技の法則を探りはじめる。               
1887年 The Society of Art and Literature創設→演出家としても実力をつける。
1898年 Moscow Art Theatre(モスクワ芸術座創設) Nemirovich Danchenko (1859~1943)と共に。
Anton Chekhow (1860~1904)の作品を演出・出演
1905~6年 ダンチェンコとの確執 `system’の模索
1912年 First Studio設立 `system’を俳優訓練の場に適用
1926年 「My Life In Art」出版
1928年 心臓病のため、役者を引退
1938年 死  「An Actor's Work on Himself : Part1」出版 →分冊化され、「An Actor Prepares」「Building   A Character」「Creating A Role」という題で英訳。
「An Actor's Work on Himself : Part2」「An Actor's Work on a Role」二冊は未完成のまま
更に「俳優修行」という題で邦訳。「Creating A Role」は日本で未翻訳。
長年の演技・劇芸術への考察と、道標となる方法を書きつづった。

2.`system’を巡る誤解
゛Konstantin Stanislavski is the most significant and most frequently quoted figure in the history of actor training. He is also the most consistently and widely misunderstood.’(1998, Benedetti)
スーパーナチュラリズム?
魔法のシステム?
1991年ソビエトの崩壊まで、情報は制限・歪曲。
しかし、世界中で独自の発展を遂げてきた。
正しい情報・知られざる情報が入ってきたのは近年の話。

3.`system’とは
・演技創造のプロセスにおいて、手助けとなる方法。
・演技で忘れがち、見落としがちなことを気づかせてくれる。
・演劇における本質的な要素をカバーしている。
・演技における必要かつ十分な要素をカバーしている。
・真実を追究している。
・古い形式、陥りがちな過ちを非難している。
・現代演劇に有効である。
・不条理演劇、ミュージカルなど様々な形式に応用できる。
・システムは「完成」されていない。
・システムは「絶対」ではない。「完璧」でもない。

`I have created "system" and I am still revising it.’(Stanislavski)
`If you find it useful, then use it, if you don't , don't.’(Stanislavski)
`Art ends where philosophy begins.’(Stanislavski)
J.Benedetti, 1998, `Stanislavski & The Actor',Methuen Drama
J.Benedetti,1999, `Stanislavski His Life and Art', Methuen Drama
A.Hodge(ed.),2000,`Twentieth Century Actor Training',Routledge
「スタニスラフスキー伝」ベネデッティ(高山図南雄 高橋英子訳)晶文社 1997
「現代演劇101物語」岩淵達治編 新書館 1996

#スタニスラフスキー・システムの分析

  • 網羅する要素
    ・緊張と解放
    ・重心とバランス
    ・筋肉
    ・人生経験の利用
    ・行動の可能性
    ・時・所・状況の影響
    ・即興
    ・焦点
    ・集中
    ・想像力
    ・サブテクスト
    ・五感
    ・精神と身体の関係性
    ・コミュニケーション
    ・アンサンブル
    ・テンポとリズム
    ・外的形象化
    ・行動の正当化
    ・行動の流れ
    ・感情の流れ
    ・台詞の喋り方
    ・信頼
    ・真実
    など。

Discussion1;自分の舞台出演経験を振り返ってみて、左の演技の要素のうち、どれぐらいを意識して演技に取り組んでいたか?

 

Discussion2;まったくピンとこない要素を挙げてみよう。

 

Discussion3;いくつかの要素を取り上げて、その重要性について話し合ってみよう。

 

演技におけるあらゆる要素に詳細の分析がされており、それらを一度ではなく、徐々に段階を踏んで教える方法が取られている。
また、技術的な指導もあれば演劇論・芸術論での指導もあり、総合的な完成度が高い。
 ↓ ↓
すなわち、最も信頼できる俳優訓練法といえる。

#スタニスラフスキー・システムの理念

1885年のノート(22歳の時)にて、彼は当時こういう点に目を向けていたことがわかる。

<13の要素>

  • 1.役の性格・性質はなんだろうか。  
    2.国籍はどこに属しているのか。   
    3.役の生理的側面は。
    4.役の精神(魂)的側面は。
    5.他の役との関係
    6.年齢
    7.成熟度
    8.どのようなタイプ(職業)か。
    9.その配役の最も最近の上演
    10.作者の意図
    11.他の役からの意見
    12.最も素晴らしい台詞
    13.外見

Discussion; どういう特徴があるといえるか?

 

当時は、まだ外見的な特徴やタイプに目を向けた分析が多く、(     ) は経験不足もあって、まだ未開拓の状態。また、「    」にはまだ気付いていない。

 

俳優修業では、こうまとめている。

10の習得
1.創造過程は想像力が土台となって生まれるため、一番最初は想像力とその構想、Magic If、Given Circumstances(与えられた環境)であるべきだ。
2.テーマが確定されれば、それは扱いやすい形にされなければならず、したがって目標を有するUnit(単位)に分けられる。
3.第三の局面は、目標を達成するところの、対象への注意の集中である。
4.目標と対象とを生かすためには、俳優は真実の感覚、自分の行っている事に対する信頼の感覚を持たなければならない。この要素は、うそっぱちの見せかけを取り入れない。あらゆるわざとらしさ、あらゆる紋切り型の演技を絶滅させることと結びつく。
5.次に来るのは欲望であり、これが行動へと導く。
6.六番目は、交感である。これは様々な交流であり、自己の感覚、物や人・状況への意識、アンサンブルを含む。
7.交流の存在するところには、適応が存在する。それは見えない意識のボンドのようでも あり、行動を正当化したり、役間で交流したり、アンサンブルを形成したりするのに必要である。
8.俳優はまた、テンポ(速度)・リズム(高低)を使う。
9.これらの要素はEmotion Memory(感情の記憶)を解放し、感情の連続に自由な表現を与え、感情の真実性を作り出す。
10.最後に論理と連続性である。

 プロセスのなかで、無視できない演技の重要な要素を示唆している。そして、これらを習得し、舞台で最大限に生かすために、彼はこう書いている。「なんでもない人間の生活を舞台に持ってくるためには、大変な努力、莫大な研究、習慣の発達、或る技術が必要なのだ。我々俳優が、たわみないシステマティックな練習や訓練に従うことを余儀なくされるのは、そのためである。我々は忍耐と、時間と、信念とを持たねばならない。」また、これらのシステムを全て経た人間が最高の俳優であるとはいっていない。より高いところへと登るための、たくさんの階段を用意したに過ぎない。この階段こそ、スタニスラフスキーシステムである。

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