夏のワークショップ感想

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8月に行われた夏のワークショップの感想。
殊勝にも書いてくれた方2名。ご紹介します。

 炎天下の中、飯田橋の駅からとぼとぼ10分かけてstone wings にようやく到着。汗だらだらでしたが、クラス内はすでに10名以上の方が来ていて緊張と期待の入り乱れたある種の心地よさがありました。
 今回の1日目のテーマは、「惹きつける力」ということで、軽い自己紹介と準備運動の後やったことは、イギリスの舞台の映像を見て何が観客を惹きつけるのかつぶさに観察をすることに。
イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの「ロミオとジュリエット」、ピーターブルックの「ハムレット」、グローブシアターの「お気に召すまま」など、本物舞台を見ることができました。
 「んー、確かに食い入るように惹きつけられる。で、一体何に?」皆さんから本当にたくさんの意見が聞けました。俳優の演技のみに関して言うと、表情のコントロール、所作の意味付け、台本の読解力、小道具とのつながり、イメージの詳細さ、観客とのつながりなどが、惹きつける要素ではないかという意見がありました。実は一人の役者は数え切れない要素を一つのシーンで、ものすごい大変な事を、軽やかなバランス感覚でこなしているということが分かりました。
 「で、結局惹きつける力の正体は?」という問いかけは、ただ一方に偏らず、独りよがりにならない、「総合性」というのが役者に不可欠なものであるということでした。本当に役者はその総合性を軽くやって見せていますが、実は本当に鍛え抜かれている。
 その後小さなモノローグを個別発表し、各々がどうだったかと意見を出し合いました。みなさん、各々鋭い意見を出しあい充実したものだったと思います。
 1日目のワークショップはなにより、「自分で考える」ことに重きをおかれ、「惹きつける力」という漠然としたテーマでしたが、別役氏のうまいリードで何をすべきなのか見えた気がしました。結局、様々な要素を一つずつしっかりと身につけていくこと、それしかないです。でも、暗中模索で身につけるより、目標を知っていてやる方がずいぶん気が楽です。

(秋江さん)

 1日目、2日目共に人数も多く、また外部からの参加も大勢いてとても活気に満ちていました。

<1日目>
 人の演技を見るというのは本当に得るものが多いなぁと感じます。特に英語での舞台はほとんど見る機会がないので、一部でしたがとても面白かったです。
 目を含め、全身で意思表示、感情表現をすることが本当に上手だなと感動しました。(グローブ座の皆さん!)
 映像で見た日本の「ハムレット」と「真夏の夜の夢」についてですが、「力んでるな、辛そうだな」という印象を受けました。こういった感覚は、特に翻訳劇を見ていて感じることが多いです。
 西欧のとても修練を積んできた役者の方が、着物を着て、日本の劇を演じたらどんな風になるのか気になりました。(見てみたい!)
 やはり舞台には色々な要素が含まれていて、面白いと思いました。

 自分の体験をスピーチし、その後他の人の体験を自分の体験としてスピーチする。このワークはとても面白く、気づくことが多かったです。
 他の人の体験をスピーチするとき、私の頭の中にはオリジナルのスピーチの内容や、それを話す人の声音、表情、自分の中のその人に近い記憶、と色々なことが渦巻いて一生懸命オリジナルを再現しようとしたのですが、実際スピーチしてみると特に感情的なところでオリジナルとの違いが出てくることにとても驚きを感じました。話の中でひっかかったこと、共感したところなどを無意識に強調していたり、オリジナルのスピーチには無かった情報が加わっていたり。
 他の人もオリジナルのスピーチと全く同じスピーチをする人はいなくて、人によって焦点をあてるところが違うんだなぁと、とても興味深かったです。

<2日目>
 役を呼び起こすには、段階が必要なのだなと感じました。「Imaginary Body」をやってみて、小さいときにしていたぬいぐるみのごっこ遊びを思い出しました。このやり方はとてもストレートで楽しく、実感が持ちやすいなと思いました。
 その後でインプロをグループでやってみて、役作りとは別のところでびっくりしました。はじめて会った人とでもこんなに楽しくインプロができるんだな~と。
 ただはじめに自分で設定した役作りを通すのは難しかったです。相手の台詞や話の展開に影響されてか、自分が想像していたのとは違う人物になってしまいました。

 台本を使って役作りをやってみて、台詞を口に出す前のイメージをふくらせまていく段階はとても大事なんだなと思いました。自分で読んで情報を集めて、みんなで話して情報を増やしたり更新したりして、台本の内容に少しずつ親しみを感じるようになって、演じる役と自分の内面を照らし合わせてみて、自分が役の目を通して見るようなイメージが浮かんできて、やっと相手役と動きながら台詞を言いながら練習する。
 今までの舞台で役作りが大変だったのは、これらの段階の前半の方をすっぽかしていたからなのだとわかりました! ここまでやって、やっと相手役の人と練習らしい練習をすることができるのだなと。
 勉強になりました。
 ありがとうございました!!

(工藤さん)

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