「代表の提言」をホームページに掲載

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■いつまでも進歩しない日本演劇を本当に変えるためには

日本の演劇に不満を持つ人は、本当は多いはずです。こんなにも劇団の数が多いのに、優れた舞台はほとんどなく、演劇人はろくすっぽ学びません。大きな舞台は、商業主義で、高額なチケット代金の割に質の高いものは観られず、有名人を観に行くものに成り代わっています。

「芸術」という意識を持っていないのが、そもそもの低俗化の原因です。俳優も演出家も、演劇人であれば芸術性を意識していなくはいけません。創造と表現は、お金を稼ぐためにあるのではないし、自己満足のためにあるのでもありません。人の心に何かを与えるためにあるのです。
心を動かすのは、エンターテインメント性だけではなく、芸術性も大きなファクターになります。

「芸術性を追求するのは理想だけど、それではお金は入ってこない」と主張する人がいても一向に構いませんが、みんながみんなそう思っていては、日本演劇が進歩しないのも仕方がありません。日本で見える景色が真実とは思わないでください。これが常識で、従わなければいけない現実だと思わないでください。
私たちには変えていく力があります。

■世界から学べ

ぼくは、24歳の時にイギリスに留学しました。そこには、ぼくの頭の中で描いていた理想が、現実的に存在しました。しかも、遥かにレベルの高い形で。
世界最前線の俳優訓練法を研究し、たくさんの優れた舞台を観ることでセンスを磨きました。理想を形にする手段を手に入れて、帰国し、舞台公演や俳優教育に力を入れてきました。

それから、なんと12年もの歳月が流れました。相変わらず、日本の演劇は変わりません。相変わらず、しっかり学ぶ演劇人はほとんどいません。相変わらず、世界から学ぶ人はあまりいません。ちょっと増えたとは思いますが、脚光を浴びるほど表舞台には出てきていません。
ぼく自身も地道な活動を続けてきたものの、変えるためのブレイクスルーが、どうにもやってこないのです。

■出てこい そして力を合わせよう

12年も経過して、心が折れないのかといわれると、ポキッと折れることはないものの、正直虚しさや疲れは何度も感じてきました。

12年間、本気で日本演劇を変えようとしている人には出会いませんでした。理想を持っている人はたくさんいましたが、誰一人変わらぬ志と継続する行動力を持つものはいませんでした。
日本演劇を変えるには、あまりにも人材が少なすぎるのです。勇気を持って、団結するものが増えていけば、途中で挫折する人も妥協する人も減ることでしょう。
団結するだけでなく、お互いの独自の価値観を提示し合い、刺激し合ったり、高め合ったりするのも有益です。これからの演劇界を変えていきましょう。

■理想の舞台を創っていくために

最低限日本にはないぞという質の高さの舞台は創ってきたつもりですが、理想にはまだまだな状態です。舞台は、集団が同じ方向を向いて、力を合わせていくことで、規模もレベルも上がっていきます。
まず、意志力が強く、高い志を持った人材が多く集まらなければ、理想には近づきません。
理想を求め、新しい突破口を切り開き、日本演劇を変革するのはやり甲斐のある生涯の仕事です。時折、そんな理想を思い描くのではなく、終始本気で取り組んでいける人材はいないのでしょうか?

■「演劇の王国」を築く

理想郷である天国を「神の王国」と呼んだのはキリストで、地上に天国を創れると説きました。ぼくは演劇の理想郷を創りたいと思うのです。全てが、最高水準で芸術性高い演劇に溢れた「演劇の王国」を共に創りましょう。