「桜の園の裏の園」の登場人物たちと3つの恋愛模様
「桜の園の裏の園」で、中心的に展開されるのは、三つの恋愛模様です。これは、もちろん原作中で展開されている恋愛です。
「桜の園」は、恋愛ものの喜劇でもあるのです。このことも実はあまり気づかれていません。
<三つの恋愛模様>
①ロパーヒン&ワーリャ 大人のすれ違いと意地っ張りで現実的な愛
②トロフィーモフ&アーニャ 若き夢想的な愛
③エピホードフ&ドゥニャーシャ&ヤーシャ&郵便局員 若き表層的な愛と憧れと戯れ
実に対照的な恋愛模様で、滑稽でもあり、ちょっぴり切なくもあります。
作中では、彼らの恋愛模様を窺い知ることが出来ますが、ラネーフスカヤやガーエフたちの領地競売問題の陰に隠れており、
観客はあまり気にかけていません。
ですが、チェーホフが描きたかったのは、すべての登場人物であり、
「あまり気にかけない」じゃあ本来の喜劇性を理解してもらえないのです。
おそらくチェーホフの誤算であったでしょう。
約100年の時を超えて、チェーホフが本当に理解してほしかった「桜の園」の本当の面白さを浮かび上がらせます。