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セルゲイ・チェルカッスキー氏のスタニスラフスキーワークショップ

S-Work Tokyoが主催する「実践スタニスラフスキー・システム ワークショップ2017
に参加しました。講師はサンクトペテルブルク演劇大学主任教授のセルゲイ・チェルカッスキー氏と
その奥さんであるムーヴメント講師ガリーナ・コンドラショワさん。

約24時間のワークショップ+レクチャーで、約30名の参加者のほか、毎回10人近く聴講者がいました。
ワークショップのレポートではなく、自分のまとめとして感じたことを記しておきたいと思います。
なので、主観でしか書いていないので、あまり参考にはされないよう。

まず、スタニスラフスキーにこれだけ興味を持って受けに来る人がいることに驚きでした。
ぼくは2000年からスタニスラフスキーを教えているし、TRAINER LABOで情報も載せています。
スタニスラフスキーを学ぶ人のためのガイドともなっているサイトで、今回の参加者のなかにも
TRAINER LABOを参考にしてましたという人がいました。

今回は俳優&演出枠として参加させてもらいました。よく知っているスタニスラフスキーを
受ける立場というのも変な感じですが、良い復習になりました。
目新しいものはないけど、違う角度から見られて、よかったです。
ぼくが教えている内容とも共通点が多く、改めてこれまで教えてきたことは間違いがないし、
世界でも通用するんだということを感じました。

ただ、アプローチ法にはちょっと違いがあるし、ぼくとチェルカッスキーさんは結構タイプが違います。
毎日のように4~5年かけて教育していく演劇学校のカリキュラムと、
うちのように週一回1年かけて教育していくカリキュラムとでは時間のかけ方が違うな
ということも感じました。深く深く、探求する時間をとっているのがよくわかりました。

ぼくらはどうしても時間が限られているので、心ゆくまでスタニスラフスキーのメソッドを
浸透させていくことができません。だから、テクニックとして使う傾向があります。
チェルカッスキーさんの場合はテクニックというより俳優の本質的姿勢として
深く深く探求していくという感じでした。
ぼくも24時間365日俳優修業だぞ、といいますが、まさにそれを求めていました。

基本、彼は学者で、科学的・論理的アプローチなのが、ぼくと違うところです。
ぼくのスタニスラフスキーの基礎はRADAのピーター・オイストン氏でした。
彼から学んだことと、ぼくがスタニスラフスキーにおいて大事にしていることは
俳優をクリエイティブにさせること
その点がチェルカッスキーさんからはあまり感じられず、何度説明しても
クリエイティブに実践できない日本の俳優たちに手をこまねいている感じでした。

ぼくがスタニスラフスキーのほかに、シアターゲームやインプロヴァイゼイションを
もう一つの柱として教えているのは、まさにクリエイティブにさせるということと、
俳優としての基本的なスキルを身につけさせるためです。

参加者の人たちは、あまりインプロなどをやっていないようでしたし、
スタニスラフスキーもほとんど初めてのような感じだったので、
ぼくも見ていて、もどかしい感じを受けました。

チェルカッスキーさんは厳格な性格で、ほとんど褒めません。
褒めても知識が加わることもなければ、なにかつかめるわけでもない、という考えなのかもしれないです。
ポール・パーカーやウルリッヒ・マイヤー・ホーシュさんは、褒めていたので、
この辺の違いも感じました。ぼくは、ハッキリいうところはハッキリいいますが、
褒めることはするので、やっぱりタイプの違いを感じ、他の受講者がどんな風に受け取っているんだろうと思いました。

一応、ぼくらのチームは一番実践できていたので褒められましたが、
それも彼の要求に応えている点を褒めるだけで、他の良い部分は(わかっているはずなのに)褒めませんでしたね。
まぁ、褒められても気持ちよくなるだけで、気持ちよくなることと上達することは違いますから。

それからワークショップ中、質問を受け付ける空気がなく、一方的に話すことがほとんどで、
場合によっては1時間くらいずっと喋っていましたね。
休憩も少なく、タフでした。時間の感覚がそもそも違うような……。

30人もの俳優と一緒にやれて、そうした価値も高かったです。ちなみにうちのスクール生からは2名参加してました。
同時に日本人俳優の問題も、やはり目の当たりにします。
表面的に演じがちな点、見せようとしちゃう点、台本に囚われちゃうところ、その場を生きることが出来ないところ、
相手や状況に反応して演技をすることができない点、緊張が体に走り、緊張をコントロールできない点……などなど。

ある意味、日本人の俳優もちゃんとできる人間がいるんだ、わかっている人間がいるんだ
ということを示したい気持ちにもなりました。
だからぼくらDチームは、それなりに良い見本になれたと思います。

はからずも、最後の発表では、トレープレフを演じることになり、
スタニスラフスキーを身につけると、こんな演技になるんだという見本は見せられたかなと思います。
自由で創造的で、その場を生きている。
そして劇世界と登場人物が生きるための準備と、サブテクストの掘り下げ。
個人的には示すことが出来たと思っています。

質問タイムがないので、合間合間で、1対1で話しました。英語でです。
ぼくの顔を知っていて、前に会ったことがないか?といっていました。
たぶんStanislavski Japanで検索したら、ぼくが出てくるでしょうから、なにかでご覧になったのでは?
Facebookで申請してくれ、と2回もいってくれたことが、ちょっとは認めてくれている証だと受け取っておきます。
今度はもっと深いスタニスラフスキー談義ができれば嬉しいですね。

ぼくはスタニスラフスキーの研究者じゃないから、実用的に全て使いこなせている以上、
あまり研究するという意欲がなかったけれど、今回のWSに参加して、
もっともっと調べて、知って、深めていかなきゃなぁと思いました。
そして、10年以上前から思っているけど、スタニスラフスキーの本を出版したい。

ジーン・ベネデッティと会ったことがあるといってましたが、
彼ですらも誤解があるといいのけました。
相当研究していますよね、彼は。全然及ばないです。
でも、スタニスラフスキーの本質は、目に見えないものにもすごく比重があると思っているので、
学者的に書かれた情報から割り出すだけではいけないのでは、と思います。

 自主練中懇親会集合写真

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