ウルリッヒ特別マイケルチェーホフWS

0
1180

おはようございます!

昨日感動のまま書き連ねたこのブログが寝落ちして全部消えてた悲劇の戦士矢野です!

ウルリッヒ特別WS!!

役者としての殻を何十枚も破り、役者としての考え方が数千回転したような感覚です。

伝われこの凄さ・・・!!!伝われえええ!!!

今回のワークショップで手に入れたものは大きく二つでした。

1.相手役と、空間と、状況と、様々なものと「繋がって」演じる経験

2.Gesture(日本語のジェスチャーとは意味が異なります)を使ってシンプルに役の感情を表現する方法。

そして、全てのワークを記述することも出来るのですが、それよりもそのワークから何を僕が受け取ったかを記述する方が簡潔かつ有用であると判断したので、そうします!(昨日まで書いてたブログがそういう形式だったことへの反抗心もある)

〇インナーボディとアウターボディ

まず、感動したのは、「インナーボディとアウターボディ」でした。

インナーボディとは、自分の身体におけるエネルギーの塊のようなもの。

一方、アウターボディは物理的な自分の身体そのもの、と説明すれば良いでしょうか。

更にインナーボディとアウターボディは表裏一体で、全く同じものであるとも、ウリさんは言ってました。

分かりやすく説明すると、カフェであなたが友達から話しかけれている。しかし、あなたは友達のつまらない話にうんざりしていて、早く家に帰りたいとばかり考えている。このとき、「心ここに在らず」ですよね。一応物理的に話を聞いてはいるけれど、全く内容が入ってこない。

この状況をインナーボディアウターボディで説明すると、インナーボディは家に向かって歩こうとしている。そして、空っぽのアウターボディだけがとりあえずそこに存在して、相手の話を一応聞こうとしている。このような感じです。

実際のワークでは、インナーボディで右を向いて、アウターボディで左を向く。インナーボディで水を飲みに廊下に行くことをイメージしながらアウターボディは座り続ける。というようなことをしました。このとき身体は、インナーボディとアウターボディが噛み合わない葛藤に襲われ、凄くエネルギーが出ます。

でも、このような状況は舞台でも良くあることですよね。

「本当はこうしたい。」(インナーボディ)けど、「だけど、実際は出来ない自分がいる。」(アウターボディ)

このように、役の葛藤に目を向ける時、インナーボディとアウターボディという概念はとても面白いなと思いました。

〇オープンとクローズ/繋がる(connect)

次に、オープンとクローズについてです。

ここが説明しにくいのですが、というのも、この感覚は実際に身体を開く動作や閉じる動作をして、感覚的に掴んだものなので、言語としての説明が難しいのです。

しかしあえて言葉で表現するならば、「外界の未知なるものに対して抵抗なく受け入れることの出来る状態」を「オープン」と言い、「それが出来ない拒絶された状態」を「クローズ」と言えるかもしれません。

ワークとしては、「私は開いている」「私は閉じている」「あなたは開いている」「あなたは閉じている」というこの四つの言葉をペアで見つめ合い、言い合う。というものをやりました。

不思議なのは、ここで、勝手にドラマが生まれる感覚があったことです。この後に「ピータークウィンズ(役の名前)」「何だいボトムの親方」などのセリフが加えられるのですが、何の脈絡もないのに、言葉に真実が加わったり、謎の意味がそこに備わるんですよね。パーティの際にウリさんに聞くと、「悪いドラマなどでは、役者同士の繋がりのないままセリフが話されるので言葉に真実がないけれど、良いドラマにおける役者の言葉は空間、状況、相手役と真に繋がった状態でセリフが話されるので言葉に真実が備わるのだ」というようなことを言っていて(間違ってたら誰か訂正してください笑)、様々なものとconnectすることの重要性を知りました。

最後に空間に繋がる、ということについても書きます。実際のワークでは、あぐらを書いて目をつぶり、周りの空間を「聴く」後に実際に親しみを持って空間と「(五感で)触れ合う」というワークをやりました。すると、本当にその空間との間に見えない関係性が出来た気がしてどんなセリフを話しても全部空間が受け止めてくれて、自分も空間から何かを受け取ることが出来るという安心感が生まれました。ウリさんはこのことについてパーティでこう話されてました。以前ゲーテのファウストの主役をやったときに40分間のモノローグをやったそうです。毎日同じことをしてもつまらないので空間と繋がる時間を6分間とったそうです。普通は大ブーイングだし、恐ろしいことですが(笑)しかし、しっかりと沈黙の中で6分間空間と繋がる間お客さんはそれに引き込まれていたし、その後のモノローグも上手くいったそうです。物凄い経験だなと思いました。インプロクラスでも6分間空間と繋がってみる人が今後現れるのでしょうか(多分タイマーが鳴りますが)

 

〇Gesture

次にGestureについて書きます。何故英語表記かと言うと、これは日本でいうジェスチャー、いわゆるパントマイムとは別のものだからです。先ほどのオープンやクローズもこれに含まれます。

ウリさんの話では、植物もGestureをしているとのことでした。スクールの桜を持ってきて、桜は上に成長しようとするGestureと横に広がっていこうとするGestureをもっていますよねと、話してくれました。桜のGestureをやってみよう、とのワークでは、全員がしっとりと優美な動きでゆっくりとしたGestureをしました。ちなみに、この「しっとりと」だとか「優美な」などの動きの性質を彼は「Quality」と表現して何度も多用していました。これも、日本語で質と表現するのは、何だか間違いな気がします。

実際のワークでは、様々なGestureを経験しました。Gestureにおいては、繋がった空間を押したり、持ち上げたり、粉砕したりします。

どのGestureを選ぶかによってセリフの性質も変わってきますが共通しているのは、感情がシンプルかつクリアに表現出来るということです。

ウリさんはある舞台において、ある場面におけるGestureの何が最適か決めるのに6ヵ月(たしか)もかかり、舞台本番の数日前になって、やっと最適なGestureが見つかり、その場面を見た演出家が、「どうしたんだ?!」と下を巻くほどだったそうです。

一番最後のワークで、女性の2人の参加者が、「夏の夜の夢」のヘレナを演じ、僕はディミートリアスとして参加させてもらったのですが、Gestureをやる度にこちらに向かってくるエネルギーが鋭く、強く、深いものとなって飛んできて、驚きましたし、僕も「粉砕する」Gestureで、言い寄ってくるヘレナを邪険に扱うのですが、本当に相手役に対して「粉砕する」ような、強い嫌悪の感情が出そうとするでもなく、自然と湧いてきて、不思議だなと感じました。

このGestureはスタニスラフスキーのSuper Objectiveに似ていると別役さんは言っていました。戯曲において役が最終的に達成したい一貫した目的のことをSuper Objectiveとスタニスラフスキーでは言うのですが、それをシンプルかつ身体的に表現しているのがGestureなのだなと思いました。確かに、こんなにも自分の表現したい感情を分かりやすく自分の身体に染み込ませられる方法があるのかと感動しました。

2日間通して、本当に、参加者の皆さんと「繋がる」事が出来たし、自分の中でかけがえの無い経験となりました。今回のワークショップを開催して頂いた秋江さん、別役さん、ウルリッヒ・マイヤー・ホーシュさんに最大限の感謝の意を評し、ブログを終えます。参加者の皆さんも本当にお疲れ様でした、そして、ありがとうございました。