台本への取り組み方でレベルがわかる
レベルの高い舞台を創る欧米や北欧、ロシアなどでは、
当然のことなのだが、戯曲をしっかり読解し、分析し、研究します。
日本のごく一部はこうしたことをしますが、ほとんどが、読解作業を蔑ろにし、
1~2度の本読みで、台詞を覚えてきて、立ち稽古に入ろうとします。
こうした習慣は、ロシアでモスクワ芸術座が、スタニスラフスキーとダンチェンコによって
理想的な規律を導入するまで、あらゆる劇場であったことでした。
モスクワ芸術座が世界に名をとどろかせたこともあり、
従来の悪習慣は、欧米やロシアを中心に、消えていったものです。
が、それから約120年経ちますが、日本ではまだこの悪習慣が主流です。
恐ろしく遅れていることがわかりますか?
そのくせ、劇団の数・公演の数は最も世界で多い!
最先端の世の中で、こんなに大規模で、こんなに遅れた舞台の作り方を
せっせとしている日本演劇は恥ずかしいほどに異常です。
外国人が劇場に来ないのをいいことに、世界で最もレベルが低い演劇を、
世界で最も金をかけて、大規模に行っているのです。
極端な言い方ではありますが。
若い人たちも、俳優中心に、陰では演出家や劇団の文句を言いながら、盲従してしまっています。
俳優の地位が低いことが一つの問題として挙げられるでしょう。
それ以上に、プロデューサーや演出家など、制作側の人間が、もっとレベルが高くならないといけません。
観客が、ダメな芝居に対して、ダメという姿勢を示すのも、成長させる上では大事でしょう。
同じくロシアの革命的演劇人メイエルホリドは、新しい劇場を創設した際、
「舞台が良ければ、好きに拍手をしてよい。良くなければ、口笛を吹いたり文句を言っていい」
という案内を出したくらいです。
ぼくは、新しい演劇を模索していた、1900年前後のロシアにはとても興味をそそられます。
ぼく自身が、20年も新しい演劇を模索……どころか既に分かっているので……実現に向けて努力してきて、
なんにも変えられないことに途方に暮れているわけですから。
とにかく、台本の取り組み方で、レベルがわかるといっていいでしょう。
台本を蔑ろにし、すぐ立ち稽古に入ってしまう劇団で、高いレベルのものはありません。
ですから、日本は全般レベルが低いわけです。
台本を尊重し、しっかり読解し、土台を積み上げていくように創っていく劇団は高いレベルを誇ります。
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