ピーター・ブルックの「The Tightrope」
ピーター・ブルック(Peter Brook)の「ザ・タイトロープ(The Tightrope)」の先行上映会に行ってきました。
日本では9月から、「ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古」という題で上映されるそうです。
監督は息子のサイモン・ブルック(Simon Brook)。
今日はアフタートークとして、サイモン・ブルックのトークショーがありました。
内容ですけど、「Tightrope 綱渡り」というエクササイズを通して、
俳優の全身を使った想像力によって、いかにリアルにしていくかという
根本的で重要な内容について指導しています。
全身の想像力とは、綱渡りをしているときの足の感覚を、
足に目があるようにイメージするなどです。
俳優が演技するとき、全てに生演奏の音楽があるのがユニークでした。
俳優の創造性を刺激するための環境を、繊細に用意しているのです。
面白いのは、
静寂(calm)から始まる。だから、静寂から準備し、行動し、また次の行動の選択へと繋がっていく。
と説明しているわけですが、この辺はマイケル・チェーホフにも通じます。
また、ちょうど日曜クラスの「チェーホフ&ジンダーメソッド」で先週テーマにした
「美の感 Feeling of Beauty」に通じることも話していました。
先週、この究極的なポジティブフィーリングを、演技のときに(悲劇的な場面もたくさんあるのに)
どう生かせばいいのかという話をしました。
ブルックは、俳優が持てる創造の喜びについていっていました。
日常生活で常に喜びに満たされるのは聖人くらいだが、俳優は短時間もしれないが、
役を生きる中で喜びを感じられる。
偉大な演劇人は、スタニスラフスキーにせよマイケル・チェーホフにせよ、
結構スピリチュアルなんですけど、ピーター・ブルックもまるで禅マスターのようです。
ヨシ・オイダさんが、「音楽や相手があれば、そこからインスピレーションを得られるが、
一人では、天から降ってくるのを待つしかない。どうすればいいのだろう」ということをいっていました。
その答えの部分は、言葉として映像にはなかったのですが、即興性のなかにあることは示されていました。
自由と創造という人間の根本的な要素をもつ即興のなかに、ぼくはあると思います。
ピーター・ブルックは、静寂(calm)から生まれるといっていましたが、
ぼく的には、静寂じゃないときも、絶えずインスピレーションが降ってくるのをインプロヴァイゼイションの中で体験しています。
ピーター・ブルックのカンパニーは、国際的なメンバーで構成されていて、
「ハムレット」などを上演するときも、白人・黒人・東洋人が混じっているわけですけど、
それは言語を超えた、人間というレベルでの表現を追求しているからでしょうね。
想像力を刺激して、目に見えないものを見させる創り方は、相変わらず昔から取り組んでいるようですね。
ぼくも、創造する上で、やっぱりこれは譲れない点ですが、日本の演劇人ももっとこの意識をもってもらいたいです。
公式ホームページはこちらから
http://peterbrook.jp/
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