8/27 スタニスラフスキー 行動編

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hiroshiです。前回で「筋肉とパントマイム」の講義とレッスンが終わり、今回から「ACTIONS(行動)」に入ります。今日は「行動の連鎖」と「行動と心理」についてです。これまでは肉体的な訓練が中心でしたが、いよいよ演劇理論のレッスンに入っていきます。

・行動の連鎖(Organic Actions)

まず、各自、自分の一日の生活を思い出し、細かく書き出しました。以下は私の朝の行動です。

目を覚ます
顔を洗う
歯を磨く
髭を剃る
化粧水と乳液を顔に塗る
髪をとかす
お湯を沸かす
コーヒーを淹れる

行動には連鎖があり、順序・流れがあります。例えば、化粧水と乳液を顔に塗るのは髭を剃った後ですし、お湯を沸かす前にコーヒーは淹れません。すなわち、単一の行動をとってみても、前後の連鎖性があるわけで、短いシーンの演技においても繋がりを理解しておく必要があるわけです。

・行動と心理(Actions and Psychological aspects)

演技においても実生活においても行動は、時、所、状況の作用を受けます。そして、それらは行動に異なった速度や雰囲気、調子、緊張感といった要素を与えます。レッスンでは、「食事の準備をする」といったシンプルアクションをベースにインプロで検証してみました。私のお題だったシチュエーションを見てみましょう。

時・・・・朝     所(場所)・・・・自宅     状況・・・父親が病気の子供のために食事を作る

このシチュエーションを表現するには、どんな行動が考えられるでしょうか?私は、朝の出勤前に慌ただしく子供を介抱しながら、慣れない手つきでお粥を作る父親の姿が浮かびました。私が父親役として演じたインプロを要約すると、以下の流れになりました。

①子供の熱を測る
②熱があるのを知る
③学校へ休みの電話をする
④子供が食べられるものを考える
⑤時間を気にしながら、慌ただしくお粥を作る

まず、布団で寝ている子供の熱が下がらないため、父親から学校へ授業を休む連絡を入れる…この行動で、朝、自宅に父親と病気の子供がいることが伝えられます。さらに、時間を気にすることで出勤等で出かける前、つまり朝であることや、お粥を作ることで、自分ではなく子供のための食事だということも想像できます。では、このシーンが朝ではなく夜だったら?

母親の仕事の帰りが遅くなり、会社から帰宅した父親が疲れながら、スーパーのタイムセールで買ってきたお惣菜で食事を準備する…というように演技を工夫すれば、おのずと夜であることが伝わるのではないでしょうか。

このように、「父親が病気の子供に食事を作る」といった目的が同じでも、時が変わることで父親の行動に変化が生じるわけです。場所が変わっても同様ですが、次回のレッスンへ続くので今回はこの辺で。