虎の門が閉じました。 〜I DO&WANT 最終回〜

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  1. スクール生のヨザです。

先日2/26に七ヶ月に渡って学んで来た秘伝の奥義I DO&I WANTが最終回を迎えました。I DO&IWANT打つのがめんどくさです。ですが、これは物凄い奥義ですので最終回の模様から七ヶ月やって感じた事、色々書いていきたいと思います!

※以下I DO&IWANT  DWとします

 

最終回はハロルドピンターの戯曲「恋人」のワンシーンをDWで実践的に仕上げて行くというものでした。別役さんがそれぞれのペアを見てアドバイスしてくれました。まずは予習して来たDOを別役さんの前で披露していきましたが、ほとんどのペアが想定していた役とは全く違うものになっていました。DOが毎回違う発想で行い、同じアイデアの焼き回しはしない事で色んな行動の可能性が見えそれが役作りにも影響してくるのだと思います。まあ別役さんが導いてくれた感が半端ないですが笑

とかくこのDOで重要なのはどれだけ質の高いDOを出せるか。やはり熟練した俳優さんは無駄なDOが抑えられ、効果的なDO、役の感情を表現するDO、これらが本当に全て意味を持っていて、無意味なDOはなく全て目的のあるDOになっています。僕らもこれを別役さんにかなり指摘され、そのDOの意味は?とか無駄なDOが多い。だったり、やはりDOの重要性を痛感しました。

さあ!DOが仕上がった後は、WANTです。予め予習して来たWANTを別役さんの前でこれまた披露していきます。この時もやはりより良い本質的なWANTを出す事をかなり指摘されました。DO的なWANTになにも意味はないので、ここもやはりもっとスムーズに言えるよう訓練が必要です。

例えば僕の例でいうと、コーヒーを飲みたいというWANTに対してやはり質の高いより良い本質的なWANTにするためには気まずい雰囲気を埋めたい。そして、他には立ちあがりたい、ではなく話を聞くのを避けたい、去りたい、などなど。まあWANTの基本ですがこれをやはり脳を追い込んで質の高いWANTを言い続けられるようこれもまた訓練が必要です。

さあWANTも別役さんに見てもらい仕上がった?笑後は、ついにセリフに入るわけです。先週セリフを渡され、DWをする前の演技ではやはりみな上っ面な、セリフをどう上手く吐くのかしか見えてこなかったり、お互いの関係性、このシーンの意義や役の目的も不明瞭なまま何も感じない演技、シーンになっていました。

さあこれがどうなるのか、、、、!

発表はまずは武内、矢野ペアから。

矢野氏とはかなりの頻度で自主練していますが、今回はかなり見違えるような存在感がでていました。2人の関係性も明瞭で見ていてとても引き込まれる素晴らしい仕上がりでした。

さあ続いて道脇、石井ペア。

2人は全く台本からは想像もできない関係性で、印象的だったのは道脇さんの役として存在している感じ。最初道脇さんがアドリブでかなりの長いマイムをかましていましたが、これもずっと見ていられるような、何故か引き込まれました。石井さんもしっかり役の特長がDOとしてでており、2人の関係性も明瞭で見違えるほどに良くなりました。

さあ続いて僕と志田ペア。

練習でWANT終わった後に2人でこれはイケる!と確信していた勢いそのまま。お互いきなり良い感じで演じることができました。やはり役として論理と一貫性が通って存在できる事は気持ちのいい事です。こちらも素晴らしい出来になったのではないかと思います。

さあトリを飾るのは辻、石井ペア。

かなりハッキリ関係性が出ていました。辻さん側の役の感じだと普通コントっぽかったり、表面上のチープさが目立ってしまいがちなのですが、そこはDWの力。しっかり成立かつ存在感も出ていてシンプルなのでテンポも良く素晴らしかったです。

 

全ペア通して見違えるほどに良くなりました!これがDWの力、、、、、、恐るべし!!!やってみて思ったのは、DWを練習しているだけでは気づかない要素が沢山あった事。実戦で使われる形を体感する事でより理解が深まった事。そして、DWのヤバさです。

とにかくみなさん七ヶ月間お疲れ様でしたッッ!

 

追記

はいここからは七ヶ月間DWを学びましたのヨザの独り言です。個人的な現時点の理解度での考察ですので、間違ってる事もあるかと思いますが必死に学んだ事から色々書いていきます。

まずはDOから。行動のための行動にならないように気をつけないといけません。例えば疲労で、何の為にパソコンを開くのか、水を飲むのか、部屋を歩くのか、疲労では回数をこなしてやっていると脇道に逸れすぎてそのシーンでの目的が薄れ、フラフラしてしまうことがよくありました。こうなってしまうと論理も破綻しますし、一貫性もなく、もちろんエネルギーも出てきません。そして自主練やクラスで何度もあったのが、何か強烈な課題が出てくるとみなエネルギーが溢れイキイキしだすという事。例えば疲労で、目的があまり見えなくフラフラしているところからアイデアが湧いて、地震が起きる、監視カメラに気づく、などそういった状況を即興で作り出すとします。そうすると課題が安全なところに行く、どういう事なのか考える、等ハッキリしてきます。そうすると全ての行動がその課題を達成する為に出始めるわけです。そうなるとみな一様にエネルギーに溢れ、ワクワクしだします。これはその課題が良い刺激になっているのももちろんですが、そこから行動がその課題達成のための真の行動になるので、必然的にエネルギーが出てくるわけです。この事からやはり行動は目的が伴わなければ意味がないものになるし、より洗練されたDOが全て目的を持ち実行されて行くことが大事だと思います。そして、DOでは身体をコントロールする事もかなり重要です。無駄な動きを抑える。無意識に癖として髪を触っていたら、頭をかいていたり、これは意識して出すのは全然大丈夫なのですが、役者として無意識にこういう事が出ているのは非常にまずいわけです。折角良いDOを出しているのに、繊細な感情表現の場面で身体のコントロールが効かずクセがでてしまうと折角の良い演技も台無しなわけです。なので身体をコントロールする。これも重要です。初期の頃はとにかく身体のコントロール面に気を配りっていて瞬き一つでもコントロールしてやる!体の向きを変える、重心を移す、まで言語化してやる!といった具合で練習していました。当時はまだあまりそこから見えてくる質の高いDOで感情表現をするという事があまり分かっていなかった為、良く別役さんに感情が見えるようなDOが少ない等指摘を受けました。ピンターの戯曲をDWで通してからは、この質の高いDOの重要性が痛いほど実感できました。これからはよりそこを意識して身体をコントロールしつつ、練習していきたいです。

 

さあ続いてWANT&IMAGE。

はい、僕これ苦手だったのですが、今や大大大好きです。最初かなり苦戦しました。休んでいたのもあって最近になってようやく理解し始めたのかなと思います。まず初期は言葉が慣れてなく、出てこなかったので、練習していてもイマイチ良い演技には繋がりませんでした。そこで考え付いたのは、DOのようなWANTで埋める、という事です。質の高いWANTを気にして詰まるよりは多少DO的になってもいいから言葉数を増やして追い込もう!という事です。これがねえ笑今となっては、なにをやっとるんだ!と言いたい所ですが、その当時はある程度効果はありました。例えばバッグを開けたい、靴を脱ぎたい、まあ確かに少し言葉数が増え効果はあったのですがこの時全く意識していなかったことは、WANT&IMAGEは時間軸が過去→現在→未来と行き交う事でした。やっていて多少出ていたとは思うのですが、意識しているのといないのとでは大違いです。現在にフォーカスしたWANTしか出ていなかったのであまり良い演技に繋がらなかったように思えます。そして最近になってイメージの重要性に気づきました。まあもちろん重要だとは思っていたのですが、しっかり経験してわかるのとは大違いです。クラスでも連鎖をやったように、やはりWANTはイメージが起点となって出てくる場合が多いです。例えば、不祥事が発覚しかけている社長だと、不祥事を隠したいという前に現実的に必ずといっていいほど、不祥事が発覚した後のイメージ、転げ落ちて行く自分の人生のイメージ、捕まるイメージ、家族に捨てられるイメージ。こういうイメージから不祥事を隠したい、隠蔽したい、なんとかしたい、会社を潰すのは避けたい等のWANTが喚起されるように思います。更にここから時間軸を行き来して、過去の不祥事のイメージ、お金がなかったイメージ、家族との幸せな日々のイメージ。これらから、仕方ないと言いたい、なんでやったのか過去の自分を殴りたい、家族に謝りたい等のWANTが喚起される訳です。このように時間軸+イメージを起点としてWANTをより深いものにして行くと、かなり演技的にも良くなると思います。またこのDWの凄い事として、俳優の仕事第二巻にて、発話の部分でセリフや朗読をするときには、視覚的に思い浮かべながら喋る。(すいませんめちゃくちゃざっくり説明しました笑きになる人は読んでみて下さい。)というのがありましたが、これはイメージの事だと思います。例えば彼を助けてほしい!と言う時、助けてほしい助けてほしい助けてほしい、と念じながら喋ってもあまり意味がなく、瀕死の彼、病室で横たわっている彼、元気だった頃に夢を語っていた彼、を思い浮かべながら発話した方がよろしいというような事が二巻にかかれているわけです。これはまさにWANT&IMAGEだなあと思いまして、これをWANT&IMAGEで言うと、

瀕死の彼のイメージ、病室で横たわっている彼のイメージ、元気だった頃に夢を語っていた彼のイメージ、これらのイメージから彼を助けてほしい!救ってほしい!何とかして欲しい!というWANTが生まれてくる訳です。僕なりの解釈として、さすがスタニスラフスキー晩年のメソッドなだけDWは素晴らしいと思った訳です。人間的な発話の自然の法則をDWをする事で、そのプロセスを経ることで、自然とそうなっているというとんでもない奥義な訳です!

 

長々と語ってしまいましたが、やってみなきゃ凄さはわからんぜよ!という事を言いたいです。笑

みなさん七ヶ月ありがとうございました。

また来年会おうぜ!

 

さらば!

 

ヨザ

與座亘

 

1コメント

  1. 確かにDW(拝借)は深すぎたよねー!
    しかもやってみないと分からない・・・

    自主練の中でDo for Do(口で場繋ぎをする為だけのDo)になってる!と何度お互いに指摘し合ったことか!(笑)

    ワクワクする目的が大事というのは、詰まる所、それだけ劇世界に没頭しきるのに必要な触媒が大事だということだろうね!しかし、これは我々が初心者だからであって、如何なる目的に対しても、没頭して、テンションを落とさずにきっちりと演じきるのが将来的には求められてくるのではないかと、僕は思う。

    Wantは、鎖のように、前のWantもしくはImageから次のwantもしくはImageを連想して紡ぎ出すのが大事で、これはスタニスラフスキーの行動の流れに通ずるものがあると思う!Do的なWantも、書いてる通り練習段階のみにおいて有効で、これもテンポを崩さず、テンションを維持する為のものだろうと思います。

    何より、DWで稽古した後のピンター作品の見違えり様と言ったらもう!凄すぎるよね!本物の役者が身体の行動一つ一つを制御して、そこから生まれる存在感が半端ないのも納得だなあ。
    とにかく、感動の演技術!!!

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